2005年12月24日 (土)

僕達は願わずとも存在している!

wizard_of_oz僕の一番好きな時間は、ファンタジーの世界に浸っている時だ。こんなことを言うのは恥ずかしいけれど、本当に優しいから好きなんだ。

現実から逃げ出しくてたまらない時は「オズの魔法使い」を観ることにしている。安らぐ場所が欲しいドロシー、脳みそが欲しいかかし、心が欲しいブリキ、勇気が欲しいライオン、彼女達のように足りないものを望みだしたら、このファンタジー映画はぴったりだ。

作者が最も伝えたかったことは「幸せは夢の中にあるのではなくて、今生きているこの世界、現実の中にあるんだ」ということだと思います。そう思う理由は、現実から逃げ出したかったドロシーが、虹の向こうにある夢の世界、魔法の国で実際にオズの魔法使いに願ったことは、現実の世界に戻りたいというものだったからです。僕達はなんと、願わずともこの素晴らしい世界に存在しているではないか!もう一度言わせてください。僕達は願わずともこの素晴らしい世界に存在しているんだ!自分に言い聞かせるために興奮してしまいました。

「オズの魔法使い」は、逃げ込んだつもりのファンタジーの世界から、逆に希望とともに追い返してくれます。何度観ても大事なことを教えてくれるこの作品は、名作中の名作ですね。そして、映画の中でドロシーが歌う「オーヴァー・ザ・レインボー」も、同じく感動の名曲です。

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2005年10月29日 (土)

ヒミズ

himizuこの作品を古谷のオナニーだという人は多いけれど、その通りなんだと思う。負け組みの人間が愛すべきダメ人間でいられるのは、開き直りの笑いがあるときだけで、虚無にやられてしまった負け組みの孤独感は、絶望を経験したことのある人間でなければわからないからだ。

作者は間違いなく過去に絶望を経験したことのある人間である。だから本当に書きたいのは「稲中」よりもこういう世界だと思っていた。自分自身と極一部のわかってくれる人だけに向けられた、絶望者の苦悩みたいなものだ。 こんなにも殺伐として陰惨で救いのない話なんて、能天気な人には忌み嫌われるだけの内容でしかないし、リストカットなんかしている弱い人には痛すぎて読んでいられないだろう。

笑いのセンスがずば抜けて高い作者が、商業的成功を捨ててまでこんな不愉快なだけの作品を書いた理由は、わかってもらえないことへの不満があったからではないだろうか。痛すぎて抱きしめたくなる青春は笑いで昇華するしかない。だから思春期の恐ろしく悲惨な日常を、「稲中」はギャグとしてうまく表現していた。でも、「それだけじゃないんだよ」という苛立ちもあったと思う。

最初から最後まで笑えないし、誰も救われないまま終わる。意味なんてない。絶望というものを真空パックしただけの、一点集中型の爆弾なのだ。

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2005年10月23日 (日)

ポール・ジェニングス

arienaiポール・ジェニングスの「物語」シリーズは、「ありえない物語」、「がまんできない物語」、「先の読めない物語」、「信じられない物語」、「想像もつかない物語」、「とても書けない物語」、「やってられない物語」がある。すべてが短編集となっていてとても読みやすいので、読書が嫌いな人にもおすすめしたい。でも、僕が本当に読んで欲しい人は、現実にまいっていてこの世界から逃げ出したくなっている人だ。

たとえば、映画「スタンドバイミー」を観たときや、ハイロウズの「夏の地図」を聴いたときのなんだかわからないけれど胸を締め付けられるような気持ち。たとえば、眠れないときに空想する誰にも邪魔されない世界。そんな、永遠に続いて欲しいと思うような時間がこの「物語」にはある。

良質なファンタジーの世界に逃げ込めば、ただの暇つぶしではない本当に優しい時間を過ごすことができるけれど、一方でページをめくるという行為がとても寂しくなってしまう。読者に「物語」が終わって欲しくないと思わせる名作は、お祭りの雰囲気によく似ている。

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2005年10月19日 (水)

おおきな木

ookinakiごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。ふと読み返したら涙が止まらなかったよ。やっぱり僕はどうしようもない人です。

シェル・シルヴァスタインの絵本の中でも秀逸の作品「おおきな木」。ストーリーは、「少年と仲のいいりんごの木が、少年が喜ぶのがうれしくて無償の愛を与え続けるのだけど、少年が成長するにつれてその愛は一方的になり、ついには身を滅ぼすほどに・・・」という内容。

大人の絵本といわれるだけあって解釈は人それぞれ違うし、読むたびに感想も変ってくる。今の僕には、自分のことしか考えない男が自分と重なって辛いお話でした。

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2005年10月 8日 (土)

同じ月を見ている

JN0037DOW僕のバイブルであり、ベストでマストな一冊。唯一漫画で泣いた作品です。

中村一義の曲に、「ピーナッツ」という大好きな曲がある。『今、こうして、まいたタネも、全部、潰されんのかなぁ。「オレ、バカでも、ミがなるなら・・・」って、思う奴もいるんだぜ。/もし君が泣いたら、すっとんで、歌、唄おう。/なぐられても、潰されても、絶対に歌を止めない。』主人公のドンちゃんはそんな人だ。潰されても潰されても種をまくドンちゃん。出逢った人達は、いつしか咲くはずのなかった花を咲かせていく。花が美しいんじゃなくて、種をまくという行為が美しいんだということを気付かせてくれる物語。

物語の最後に、宮沢賢治の詩をバックに絵を見るシーンがあるんだけど、あの場面は世界で一番きれいな瞬間だと思う。

どんなに離れていても、この想いが伝わらなくても、僕はあなたと同じ月を見ている。

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