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「好きなサッカーで 世界に胸を張れる 選手になって下さい」元グランパス・福田健二が思い返す「遺言」
1 :物質混入φ ★ :2005/09/12(月) 23:01:50 ID:???0
Jリーグの名古屋、FC東京、仙台でプレー後、南米に活躍の場を求め、現在はメキシコ・イラプアトのエースストライカー。FW・福田健二選手。彼のチャレンジ精神の裏にある、余りに苛酷な過去が、スポーツ雑誌「Number」誌上の小宮良之氏の記事によって明らかとなった────。
彼は今もその日の始まりをよく覚えている。当時、小学5年生だった彼は朝から違和感を感じていた。いつもは窓を開けて手を振ることなどない母親が、自分の姿が見えなくなるまで手を振っている。胸騒ぎを覚えたが、それは少年特有の恥ずかしさにすり替わった。
「母ちゃん、もういいよ。恥ずかしいから」
2限目だった。彼は「お母さんが怪我をした」と校長室に呼び出される。何が起きたのかは分からなかったが、恐ろしいことが起きた気がした。
母はビルの屋上に上がり、自らガソリンをかぶって火を放ち、そのまま飛び降りた。少年は同じ言葉を繰り返していた。「母ちゃんに会わせろ」と。
「親父とは離婚していて…。お金には困ってました。兄貴が貯めていたお金を母ちゃんが黙って生活費に充てて。二人は大喧嘩です。けど、たった1万円ですよ。愛があればお金なんていらない、という人もいますけど、それは本当の貧乏を知らない人が言うことですよ」
福田健二宛に残された遺書には、たった三行だけ記されていた。
「好きなサッカーで
世界に胸を張れる
選手になって下さい」
3 :物質混入φ ★ :2005/09/12(月) 23:02:16 ID:???0
福田は声を絞り出す。
「兄貴はこれからのこととか、大学を出て、とか原稿用紙3枚も書かれていたのに、なんで自分は3行、しかもサッカーのことだけなのか、と悩みましたね。確かに、サッカーの練習だけは一度も休まなかったですけど。」
その日から、彼はサッカーを通じて人生を自問自答しながら歩んでいくことになる。朝起きてから夜寝るまで、彼はサッカーを意識して生活する。そうでないと、自分がダメになる気がするのだった。
「母ちゃんが死んだときは、施設に入れられそうになってね。結局、千葉にいたオヤジに引き取られるんですけど…。」
しかし引っ越した千葉での生活は、辛酸をなめ尽くすようなものだった。
「オヤジには『サッカーは金がかかるから辞めろ』と言われました。『勉強も役に立たない』と教科書を捨てられて。中学の時は荒れてたし、先輩から『調子に乗っている』としめられました。一匹狼みたいな感じで突っ張っていて、その筋の人に入らないか、とも誘われました。俺が信じられるのは兄貴だけだった」
中2になると、福田は練習に行けない日が続いた。練習場に通うための、大人800円の電車賃が捻出できなかったからだ。全日本クラブユース出場も、遠征費が払えないからと辞退。それでも中3の冬の大会では、チームメイトだった広山が福田の父に懇願し、足りない旅費はチームのオーナーが肩代わりしてくれたことで彼はほぼ1年ぶりのピッチに立つことが出来た。そこで福田はブランクを感じさせずにゴールを量産し、チームを全国3位に導く。
7 :物質混入φ ★ :2005/09/12(月) 23:02:28 ID:???0
彼はある決意を導き、中学時代を終えようとしていた。福田は真剣な表情でブラジル人少年達が語る言葉を聞き、瞠目する思いだった。
「大きくなったら、プロサッカー選手になって、たくさんお金を稼いで、お母さんに大きな家を買ってあげたい」
自分がプロ選手になっていれば、お母さんを楽にさせてあげられていただろうにと、彼は想像した。当時、日本にはまだJリーグというプロリーグが存在していなかった。だか福田がブラジルに自分が生きる場所を求めたのは、飽食の日本に溶け込めない自分の存在を感じていたからだ。貧しさから抜け出すために懸命に生きようとするブラジル人に、彼は共感を覚えずにはいられなかった。
中学校の担任との進路相談で、彼は真剣な表情で言っている。「卒業したら、ブラジルに行きます」先生は呆けた顔をしていたが、彼は大真面目だった。
2005年8月20日、イラプアトの第3節はホームゲームだった。1-0という場面、彼は任されたPKを外してしまう。
「サポーターにはいろいろ言われているでしょうね。FWは結局ゴールだから、ゴールしないと絶対に評価されない」
彼はこのままでは日本に帰れない、という切迫した心境でゴールを睨み続ける。そして何かあると最後に母がくれたメッセージを思い返している。
「好きなサッカーで
世界に胸を張れる
選手になって下さい」
(Number9月22日号より、一部を抜粋)
お母さんを怨んで堕落していくだけの人生でもおかしくないのに、とても立派な父親になっている福田はかっこいいな。
生い立ちを考慮して犯罪者が酌量されることがあるけれど、福田のように生い立ちに関係なく立派な生き方をしている人もいる。同時に、とても辛いことがあっても話しを聞いてもらえない人や、どんなことがあっても一度も荒れることはなかった人の存在も忘れないようにしたい。
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